1.問題解決思考9ステップによるG-PDCAの実践
2.ステップ7:対策の実践
3.ステップ8:振り返り ※検証
4.ステップ9:成果の標準化
5.最後に
具体的な9つのステップによって問題解決をするという考え方の「問題解決思考9ステップ」。今回は【ステップ7:対策の実践】【ステップ8:振り返り※検証】【ステップ9:成果の標準化】について解説いたします。
下記に改めてG-PDCAを具体的に進めるための「問題解決思考9ステップ」を表記いたしました。ステップ1からステップ6までをまだお読みいただいていない方はぜひこちらからご確認ください。
<問題解決思考9ステップ>
(ステップ1~3に関する記事はこちらから)
(ステップ4~6に関する記事はこちらから)
【ステップ6:対策の立案】では、問題点を発生させる影響力が大きい要因への対策を実行できるように、具体的な計画を策定しました。
本ステップでは、計画を基に実施していきます。以下より実施する順序を詳しく解説していきます。
まず、計画に沿って対策を実践していきましょう。
「計画はあくまで参考にする程度であり、実際に行動したら計画通りにいかないのは当然だ」と考えてしまうことがあります。確かに、予測不可能な事態が発生して計画通りにいかないことはあります。
しかし、はじめから計画は参考程度と考えて闇雲に行動したらどうなるでしょうか。反省と改善は、計画と実践した結果を比較することでしか出来ません。
G-PDCAを正確に回すためには、計画に沿って対策を実践するという考え方が重要となってきます。
計画に沿って実践している内容を、報告・連絡・相談を通じて関係者同士で共有しあいましょう。
「目標達成のための実践」は個人だけではなく関係者全員が進めるべきものです。計画に対して新たな問題に直面し軌道修正する必要が出てくることはよくあることです。
その際に、関係者全員に共有できる状況を作っておき、協力体制を構築できていれば、個人で対処するよりも早く解決できる可能性が高まります。
計画に沿って実践することを、途中であきらめてしまうと「最後までやらなかったから、結局どのくらいの効果があったのかが明確には分からない」というような状態になります。
その結果、後述する【ステップ8:振り返り】の段階で、検証する材料の不足により、改善策の検討が困難となります。
目標に対する効果性等を適切に振り返るためにも、設定した期間の間は諦めずに実践しましょう。
【ステップ7:対策の実践】の内容をもとに、振り返りを行いましょう。振り返りは下記の3つの視点を意識してください。
(1)対策の実践が設定した期間内にうまくいった場合
計画通りに実践できた場合、「計画の立案」および「対策の実践」が正しく行われたことになります。
2つ目の視点である「目標に対する結果を検証し、関係者と共有する」ことを始めてください。
(2)対策の実践が設定した期間内にうまくいかなかった場合
<計画(Plan)上の課題>
「G-PDCA」における「P」が適切であったかを検証します。
計画上の作業期間・所要時間は現実的であったのか
計画上の作業量は現実的であったのか
関係者間での連携が適切に行える計画になっていたのか
SMARTの考え方に基づいて設定できていたか
などが検証するポイントにあたります。
<実践(Do)上の課題>
「G-PDCA」における「D」が適切であったかを検証します。
計画は適切であったにも関わらず、予期せぬ弊害が発生したことで実践しきれなかった
自身も含めて関係者が、モチベーションを維持できず計画通りに実践できなかった
自身も含めて関係者が、計画内外の業務で実践すべき優先順位を誤り、計画通りに実践できなかった
などが検証するポイントにあたります。その際、実践したメンバーを責めるような検証をするのではなく、客観的にその事実を見つめ、課題を明確化させましょう。
その課題をもとに次の視点②へ移ってください。
次に、目標に対する結果を検証します。
今までのステップにおいて、
・現状の自分が目標を達成できない要因を分析して、真因(問題点を発生させる影響力が大きい要因)を絞り込む
・真因ごとに対策案を洗い出して、実行すべき対策案を絞り込み、具体的な計画を立てる
・計画に沿って実践し、計画と実践上に課題がなかったかを振り返る
を行ってきました。そこまで出来たら、今度はG-PDCAでいう「G」に対してどこまで結果を出せたかを検証していきましょう。
(1)対策の実践が設定した期間内にうまくいったにも関わらず、目標を達成できなかった場合
視点①の振り返りの時点で、【ステップ7:対策の実践】が設定した期間内にうまくいったと判断できているにも関わらず、目標が達成できていないという方もいらっしゃると思います。
その場合は、下記のように今まで実施してきたステップごとに検証してみてください。
(2)対策の実践が設定した期間内にうまくいかなかったにも関わらず、目標を達成できた場合
視点①の振り返りの時点で、【ステップ7:対策の実践】が設定した期間内にうまくできなかったにも関わらず、目標を達成できてしまったという方もいらっしゃると思います。
目標を達成できているなら、現行のまま対策の実施に取り組めば問題ないと思われるかもしれません。しかし、ここで振り返りをしないでいると、より成果を出すことを求められたときに何故成功したのかわからないままG-PDCAを回さなくてはならなくなります。
改善すべきポイントがわからないまま行動しないためにも、今まで実施してきたステップごとに検証してみてください。
視点①と視点②で検証したことを、さらに関係者と共に検証しましょう。
・ステップ1~ステップ7を見直して、どのように「成功」が導かれたのかを検証する
・ステップ1~ステップ7を見直して、どこに「課題」があったのかを検証する
・「成功」と「課題」を特定する
関係者全員が上記の様に検証しましょう。ここまで振り返りを行うことでようやく、実践した中から「成功」と「課題」を見つけ出すことができます。
次のステップで行う「成果の標準化」の「成果」は、振り返りで見出した「成功」と「課題」にあたります。
成果=「成功」+「課題」
この方式を踏まえて次のステップにお進みください。
今回の取組みを継続的な成果にするために標準化を行います。
目標達成と行かずとも達成させるために行動した結果は、全て次につながる成果と認識してください。
この成果を整理・明文化し、今後社内で起こる同種の問題解決のための仕組みとして標準化して残して行きましょう。
問題解決思考9ステップによる問題解決は、取り組んだ目の前の問題自体を解決できることはもとより、その知見や経験を未来に向けて活かすことができるという大きな要素を持っています。
標準化した仕組みは、個人のノウハウとして保有するだけでなく横展開していきましょう。
成果に繋がる仕組みは、より広範囲で活用されることで相乗効果を発揮します。標準化した仕組みを作り共有することで、組織が根本的に抱える問題を解決に導きます。
この横展開が巡り巡って個人の成果以上になってご自身に戻ってくるという視点を持って取組んでください。
3回に渡り、「問題解決思考9ステップ」についてその考え方と具体的な取り組みについて解説させていただきました。
「問題解決思考9ステップ」は、身近で短期的なテーマから、世の中に影響を及ぼすようなテーマまで、あらゆる物事に対して具体的に取り組むための、論理的思考サイクルのフレームとして活用することができます。
皆様ご自身が継続的な成果を出し続けるために、基本的な思考として活用されることをお勧めいたします。
宮田 純(みやた じゅん)
ソフトブレーン・サービス株式会社 シニアコンサルタント
一般財団法人 プロセスマネジメント大学 事務局長
1977年(昭和52年)、北海道出身。
大学卒業後、新卒で人材サービス会社に入社(営業職)。25歳で営業リーダー。30歳でBPO事業を立ち上げ、営業、業務設計、人員採用、業務マネジメント、PJT管理、一連の全ての業務を行い、事業化を推進。3年間で110名の事業本部となる。
その後、医療に特化した人材サービス会社に転職。営業部門の事業部長。72名のマネジメントを行い、業績向上、入社1年2ヶ月後のマザーズ上場に貢献。「遠隔診療」事業を立ち上げ、政府が推進している遠隔診療事業化のさきがけとなり、1年で正式な事業部のひとつとなる。続けて「看護・介護派遣」事業を立ち上げ、同じく1年で事業部となる。
上記の経験を活かし、ソフトブレーン・サービスに入社し、現在に至る。
頂いた個人情報は、ソフトブレーン・グループ内にて共有させて頂きます。ご了承の程、よろしくお願い致します。