1.はじめに
2.「問題」とは何か
3.問題解決思考9ステップとは
4.問題解決思考の前提として
5.ステップ1:取組みテーマを決定
6.ステップ2:問題の明確化
7.ステップ3:現状分析
8.さいごに
「成果主義」や「プロセス至上主義」という考え方をご存じでしょうか?
・成果主義
成果・結果さえよければ過程はどのようなものでもよいという考え
・プロセス至上主義
たとえ結果が出ていなくても、プロセスにおいて行動すべきことをしていることが評価される考え
これらの考え方がある中、現在では「プロセス成果主義」が求められています。「プロセス成果主義」とは、確実に成果を出せるプロセスを設計し、そのプロセスを正しくマネジメントするという考え方です。
「プロセス成果主義」を導入するためには、成果・結果が最大化されることが前提であり必須要件です。常に自社・自部門・自分自身における課題の発見・解決を繰り返し、成果・結果に繋げることが肝心です。
では、具体的には「プロセス成果主義」のもと何をすればいいでしょうか。一般的にはPDCAサイクルを回し、プロセスも結果も改善に至るよう行動されてらっしゃると思います。しかし、どのようにPDCAを回すかを厳格に定めていないと形骸化してしまいます。
そこで本記事では、抽象的なPDCAを具体化した「問題解決思考9ステップ」について詳しく解説いたします。
・取り組むべきテーマ(ミッション、課題、目標等々)と捉えるべきなのは何なのか
・上記に対して具体的にどのように取り組むべきなのか
などを取り上げていきます。
そもそも「問題」の定義とはどんなものでしょうか。私たちがビジネス上で捉えるべき「問題」の定義は、下記の通りです。
「問題」=「あるべき姿」と「現状」のギャップ
<例1>年間売上予算が2億円だが、現時点で売上実績が1億円の場合
あるべき姿:年間売上予算の2億円達成
現状:売上実績が1億円
問題:売上実績が1億円不足している
<例2>アンケートで顧客満足度95%を目標としていたが、結果は91.2%だった場合
あるべき姿:顧客満足度95%を越す
現状:結果は91.2%だった
問題:3.8%満足度が低い
上記のように、取り組むべきテーマや、あるべき姿と現状のギャップを問題として認識したとき、どのように取り組むべきかという具体的な方法こそが「問題解決思考9ステップ」です。
前段で述べたように、「目標に向けてPDCAを回そう」と言われても、具体的に何を実施することが正しいかを明確にしてないと、回しているつもりが上手くいかず取り越し苦労になってしまいます。
努力したことを無駄にしないために、「問題解決思考9ステップ」を把握しておくことをお勧めします。
問題解決思考9ステップ」を改めてご紹介しますと、具体的な9つのステップを進めることによって問題解決をするという考え方です。そのステップは下記の9つから成り立っています。
<問題解決思考9ステップ>
「G-PDCA」の考え方から分類すると、ステップ1~2が「G」、ステップ3~6が「P」、ステップ7が「D」、ステップ8が「C」、ステップ9が「A+再PLAN」ということになります。本記事ではステップ1からステップ3までを取り上げ、ステップ4以降は別の記事にて詳しくご解説いたします。
各ステップを解説する前に、前提としてご理解いただいておきたい内容を2つお伝えします。
前提1:問題と問題点の違いを認識する
9ステップを解説するにあたり、「問題」と「問題点」というフレーズが出てきます。
・問題
「問題」とは前述した通り、「あるべき姿」と「現状」のギャップです。言い換えれば「結果として起こった事実」になり、この事実こそが「問題」ということになります。
・問題点
「問題点」は上記の「問題」の原因となるものであり、手が打てるものです。
<例>売上が1億円不足しているという問題がある
問題:売上が1億円不足している
問題点:既存顧客に対する提案数が不足している
自社の魅力を伝えるためのスキルが身についていない(育成できていない)
新規顧客を獲得するためのリストがない
上記の例のように、問題が発生する原因・要因にあたるものが「問題点」となります。「仕事の進め方の悪さ」や「問題を形作っている要素」のようなものを示しています。
前提2:他責ではなく自責思考で考える
他責・自責というと、「他人が要因で発生した結果」「自分の行いによって発生した結果」という受け止め方しかしていません。しかし、問題解決のために必要な思考としてはもう一歩先に進める必要があります。
<例>昨年度、前年比110%の売上1億円という実績をやっと達成したにも関わらず、今年度は売上目標を3億円にする、ということが示された場合
他責:会社が現場を分からずに勝手に決めた数字だから達成できなくてもしょうがない
自責:会社が現場を分からずに勝手に決めた数字だが、目標を達成するために自分自身としてどんなことができるだろう
上記の例において他責の場合、会社や上司を問題の要因として捉えることにより、解決するための糸口を探し出すことが困難となるでしょう。
一方、自責で考えれば問題を自分事と捉えることができます。その結果、要因を分析して出てきた問題点を解決するために自身の行動で改善しようという流れができるでしょう。
従来他責として捉えられていたことも、自責思考に基づいて行動することが重要となってきます。
上記の2つの前提を基に、ステップ1~9について解説させていただきます。
※複数回に分けて解説予定。この記事ではステップ1~3を解説いたします。
まずは取り組むべきテーマを決めます。テーマを決定するにあたって、下記のような視点を持つと良いでしょう。
視点:3種類の「問題」
(1)発生型問題
「達成できていない事象がある」「本来の姿から逸脱している」ようなケースを捉える場合です。
<例>
・売上が伸びていない(現状の売上に対して大きな目標が設定された)
・利益が減少している
・顧客からクレームが発生した など
(2)設定型問題
「更に向上できるようやり方を改善する」「強みを活かすために体制を強化する」ような内容を捉える場合です。
<例>
・顧客満足度をもっと高める
・生産性を向上させて業務効率化を図る
・今よりももっと売上・利益の規模を大きくする など
(3)創造型問題
新たな機会を創出する、将来に向けたリスクを回避する、のような内容を捉える場合です。
<例>
・新たなビジョンを構築する
・新規ビジネスを開発する など
上記のように、テーマとすべきことに対して3種類の視点があることがわかります。まず、自身および自部門の業務を上記3つの視点でそれぞれどんな問題があるかを考えてみましょう。その中で、最も優先すべき問題がテーマとなります。
テーマを考えるのに行き詰った時には「理念や年度方針のようなものから考える」「自ら取り組みたいと思えるテーマを考察する」「上司と共にテーマを決定する」といった方法もおすすめです。
ステップ1で決定したテーマに基づいて、「あるべき姿」と「現状」を明確にしましょう。
問題とは「あるべき姿」と「現状」のギャップであるため、それぞれを把握しなければ問題が不明瞭なものとなってしまいます。
<例>
あるべき姿:売上目標 300,000,000円達成
現状:売上実績 150,000,000円
ギャップ:売上実績 ▲150,000,000円
(1)あるべき姿
はじめに「あるべき姿」を明確にしましょう。設定したテーマと、過去の実績や推移・社会情勢などを見比べることで、理想とする「あるべき姿」が見えてきます。
例えば、発生型問題のように組織として目標が示されていると「あるべき姿」がわかりやすいと言えるでしょう。売上が芳しくないのであれば、上記例の通り「あるべき姿」は300,000,000円の売上達成を目指すなどがあげられます。
(2)現状
次に「あるべき姿」を明確にした上で「現状」を確認しましょう。「あるべき姿」との間で明確なギャップを意識した具体的なものを示しておくと、順調に次のステップに進めます。
(3)「あるべき姿」と「現状」のギャップ
「あるべき姿」と「現状」を示したら、そのギャップを示しましょう。ギャップ=問題となります。問題を明確にしやすくするために、「あるべき姿」と「現状」のどちらも数値で表すことをおすすめします。
数値化できないようなテーマや問題であった場合は、問題解決ができたかがわかる基準を設定しましょう。例えば、問題が部内のコミュニケーションであると設定した場合、「全員が1日1回以上すべての部内のメンバーと会話をした」という明確な基準が望ましいです。
「問題」が明確になったら、「問題点」を洗い出しましょう。そのためにあらゆる視点で「問題」を分解する現状分析が必要です。
<例:営業における現状分析>
上記のように、あらゆる視点から「問題」を分解することで、「問題点」を洗い出すことが出来ます。
洗い出したあとは、問題解決するためにインパクトの大きい問題点を探しましょう。インパクトの大きい問題点から優先順位をつけ、着手していくことで解決の近道に近づきます。
現状分析を自身で、他者・他部門・異なる役職や立場の方からも意見を聞き、自身の現状分析により客観的な視点を取り入れましょう。固定観念に囚われず、広く知見を求めながら視野を広げ、深掘りすることができます。より現状分析が正確なものにするためにお勧めいたします。
今回は問題解決思考9ステップの概要や前提の考え方に加え、ステップ1からステップ3までを解説いたしました。ステップ4以降については続編がございます。
ステップ4~6:こちらをクリック
ステップ5~9:準備中
問題解決思考9ステップは、ビジネスシーン以外でもあらゆる場面で活用できるノウハウです。まずは9ステップを通して問題解決を進める入口として、今回解説させていただいた内容から取り組み始めていただければと思います。
宮田 純(みやた じゅん)
ソフトブレーン・サービス株式会社 シニアコンサルタント
一般財団法人 プロセスマネジメント大学 事務局長
1977年(昭和52年)、北海道出身。
大学卒業後、新卒で人材サービス会社に入社(営業職)。25歳で営業リーダー。30歳でBPO事業を立ち上げ、営業、業務設計、人員採用、業務マネジメント、PJT管理、一連の全ての業務を行い、事業化を推進。3年間で110名の事業本部となる。
その後、医療に特化した人材サービス会社に転職。営業部門の事業部長。72名のマネジメントを行い、業績向上、入社1年2ヶ月後のマザーズ上場に貢献。「遠隔診療」事業を立ち上げ、政府が推進している遠隔診療事業化のさきがけとなり、1年で正式な事業部のひとつとなる。続けて「看護・介護派遣」事業を立ち上げ、同じく1年で事業部となる。
上記の経験を活かし、ソフトブレーン・サービスに入社し、現在に至る。
頂いた個人情報は、ソフトブレーン・グループ内にて共有させて頂きます。ご了承の程、よろしくお願い致します。