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Useful-Information お役立ち情報 アカウントベースドマーケティング<記事>

INDEX

1.アカウントベースドマーケティングとは
2.ターゲットの選定
3.特定したターゲットへの活動
4.さいごに

 

1.アカウントベースドマーケティングとは

BtoBビジネスを展開する企業のマーケティング手法として注目されているのが「アカウントベースドマーケティング」です。略して「ABM」とも呼ばれています。

アカウントベースドマーケティングの考え方を一言で言うと、「特定のターゲット顧客(企業)を選定し、全社的かつ戦略的に営業・マーケティング活動を行うことで、その顧客への結果を最大化させる」ことです。従来のマーケティングは「個人」を対象としています。マーケティング用語で言えば「個人」を「リード」としてカウントし、活動を行っています。

一方、アカウントベースドマーケティングの対象は「企業」です。「アカウント=企業」という意味になります。

「リード」への認知活動を起点として行うマーケティングの特徴は、様々なチャネルを活用して広くアプローチするものでした。対照的に「アカウント」を特定することを起点としてマーケティング活動をする「アカウントベースドマーケティング」は集中的にアプローチできる手法と言えるでしょう。

メリットとして、具体的に特定した顧客への活動を、社内における異なる役割や異なる部門で連携をとり、全社的に戦略的な活動を行うことができることが挙げられます。

 

2.ターゲットの選定

アカウントベースドマーケティングを実施するとき、一番始めにすべきことが「ターゲットの選定」です。

では、「ターゲットの選定」は、何を基準に行うべきでしょうか。答えは、自社の商品・サービスを提供することで、顧客の抱えるニーズに繋がるかどうかが最も重要な基準となります。そのためには、選定する前の下準備として自社の独自性=USP(※1)を整理する必要があります。

競合他社と比較して、自社の商品・サービスの方がターゲットに適したUSPを保持していれば、マーケティング・営業活動の優位性を計ることができます。逆に競合他社の方がターゲットのUSPに適している場合、自社がアプローチしても受注に繋がる確率が低くなると予想できるでしょう。

下準備が完了した後、自社にとって最も有効なターゲット顧客となる企業を選定するステップに移ります。
具体的には、過去の取引実績や取引事例を下記3つの視点を用いて特定します。

・デモグラフィック属性(※2)
・サイコグラフィック属性(※3)
・きっかけ・タイミング属性(※4)

選定の基準を応用して追加するのであれば、

・クロスセル・アップセルが見込める企業
・顧客内での他部門への展開が見込める企業

なども選定する際のポイントと言えます。そのような企業は、1社あたりの売上規模拡大余地や、案件数拡大余地が大きい可能性があるからです。

※1 USP(Unique Selling Proposition):「商品・サービス」「営業パーソンの人間性」といったよくある強みに加え、それ以外の3つの視点(※2~4)を加えることで、市場における優位性を確保することができる。
※2 デモグラフィック属性:顧客の「基本属性」として抑えるべきもの。年齢・性別など
※3 サイコグラフィック属性:顧客の「感情心理属性」として抑えるべきもの。信念、価値観、習慣、嗜好など
※4 きっかけ・タイミング属性:顧客が何をきっかけにして取引することになったのかを明確にするもの。

 

3.特定したターゲットへの活動

次にすべきことは、結果を最大化することを目的に、特定したターゲット企業へ全社的に活動を開始することです。

全社的に活動する意味は、マーケティング活動だけでなく営業活動も含まれています。ただし、漠然とマーケティング活動、営業活動を実施するだけでは結果に結びつきません。

成果を出す活動にするためには、ポイントが3つあります。

(1)ターゲット企業への活動進捗をいつまでにどのような状態にするのかという「ゴール」を設定する

「ゴール」を定めなければ、営業部門だけでも活動の方針が散り散りとなってしまいます。ましてや全社的な活動ともなると「ゴール」は全員が理解し具体的なアクションを思い描けるものでなければ、連携がうまくとれなくなります。そのため、いつまでに何をすべきかが即座に判明できる「ゴール」の設定が重要となります。

(2)ゴールを基に「目標からの逆算思考」(※5)を行い、全社で活動に取り組む

ゴールを設定した後には、具体的なアクションプランを立てる必要があります。よくあるケースとして、「最初に●●したあとに、〇〇をする。最後に△△してゴールへ到達する」と時系列に沿って計画される方がいらっしゃいます。

しかし、この手法で活動に取り組めば、始めの方のステップで挫けたときに最後のステップまで到達できない可能性が高まります。

そこで重要なのは「目標からの逆算思考」になります。ゴールに近いほうから考えることで、より現実的な目標とタスクを洗い出すことができます。ABMはマーケティング部門だけでなく複数の部門との連携による総当たり戦とも言えます。ゴールを設定したのち、連携を取りやすいようにタスクを洗い出して共有することは重要なポイントとなります。

(3)WBS(※6)を作成して、部門間の連携をはかる

「目標からの逆算思考」によって現実的な目標とタスクを洗い出すことができると説明しました。その後にすべきことは部門間の連携を円滑にするためにWBSを作成することです。

WBSを作成することのメリットは、「目標とタスクをどのようなタイミングで達成すべきか」「手順はどのように踏めばいいのか」「他部門との連携をいつとるべきなのか」が明確になることです。

達成すべき目標とタスクが明らかになるだけでは、迅速かつ高品質な成果に結びつけることができません。
ゴールだけでなく、ゴールまでの道筋をWBSを通じて共有する必要があります。

※5 目標からの逆算思考:「プロセスマネジメント」における、成果をあげるための基本的な考え方。「成果」を出すためには、活動後にどうだったかを探すのではく、事前に具体的な成果を定義しその成果に向かって進捗を継続し行動することが必須条件である。
※6 WBS:プロセス分解構造図の意。 「プロセスマネジメント」の根本となるフレームワーク。ビジネスにおける活動を分解することで、誰でも実行できるレベルまで落とし込む。「現時点での活動内容」として手順書にするのではなく、「成果が出る活動」として設計することがポイント。

 

4.さいごに

BtoBビジネスの有効な手法として注目される「アカウントベースドマーケティング」とそれに伴い行うべき「具体的なステップ・ポイント」をご紹介させていただきました。

アカウントベースドマーケティングは、全社的かつ戦略的に行うことが、成功の秘訣です。

自社の業種業態によって特定すべきターゲットや成果の出る設計は異なります。だからこそ、各社というアカウントごとの「ゴール設計」「目標からの逆算」「WBS」を構築することが重要となってきます。

貴社の独自性、特殊性を生かし、アカウントベースドマーケティングを成功させることは、今後の貴社のビジネスの発展に寄与する可能性を大いに秘めています。ぜひ成果に向けた手法のひとつと捉えていただければと思います。

ソフトブレーン・サービスでは、「ゴール設計」「目標からの逆算」「WBS」等を体系的に学べる「プロセスマネジメント」によるスクール運営・コンサルティングを行っています。

アカウントベースドマーケティングを成功に導くお手伝いもさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

講師プロフィール

宮田 純(みやた じゅん)
ソフトブレーン・サービス株式会社 シニアコンサルタント
一般財団法人 プロセスマネジメント大学 事務局長

1977年(昭和52年)、北海道出身。
大学卒業後、新卒で人材サービス会社に入社(営業職)。25歳で営業リーダー。30歳でBPO事業を立ち上げ、営業、業務設計、人員採用、業務マネジメント、PJT管理、一連の全ての業務を行い、事業化を推進。3年間で110名の事業本部となる。
その後、医療に特化した人材サービス会社に転職。営業部門の事業部長。72名のマネジメントを行い、業績向上、入社1年2ヶ月後のマザーズ上場に貢献。「遠隔診療」事業を立ち上げ、政府が推進している遠隔診療事業化のさきがけとなり、1年で正式な事業部のひとつとなる。続けて「看護・介護派遣」事業を立ち上げ、同じく1年で事業部となる。
上記の経験を活かし、ソフトブレーン・サービスに入社し、現在に至る。

 

 

 

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