この新人営業シリーズもいよいよ最終回の第3回を迎えました。これまで、第1回「マインド(意識)」、第2回「ノウハウ(知識・やり方)」について取り上げてきました。現在の皆様の営業状況はいかがですか?
さて、今回のテーマは「スキル(能力)」についてです。
スキルとは、「技能(技術的な能力)」を意味しており、とりわけ「訓練や学習によって培われた高度な能力」を指す意味で用いられています。 コミュニケーション能力や、知識や教養なども、「スキル」として扱われることが多々あります。
今回の記事では、営業として身に着けるべき「スキル」とその習得方法について詳しく解説していきます。
1.【営業スキル1】スキル習得に必要なものは“練習”
2.【営業スキル2】営業スキルは体系化されている
3.【営業スキル3】営業スキルは全部で70個
結論から申し上げますと、営業として身に着けるべき「スキル」を習得すれば、誰でも営業で成功できます。「何を当たり前のことを……」と感じるかもしれません。では、このように質問されたとき、あなたはYESと回答できるでしょうか?
「あなたは営業のスキルを向上させるために、日々何かしらの“練習”に取り組んでますか?」
私のこれまでの経験では、10人中9人以上が「練習をしていない」と回答されます。
実は「練習をしていない」のではなく、そもそも入社した会社に「営業の練習する場」がないというケースが少なくありません。また、練習できる環境がないまま商談という本番に駆り出されていることも珍しくないでしょう。
例えば、練習することなく商談に挑むこととなった若手営業がいたとします。説明がうまくいかない、とりあえず商談に赴いたということとなれば、お客様にとって迷惑ですし、自社に対する信頼関係にひびが入る可能性は大いにあり得ます。お客様を練習台にしてると言えるでしょう。
しかし、事前に練習しておけば、営業スキルを習得した上で商談に挑むことができ成功率もあがります。前述した例でいえば、「お客様が求めている説明ができるスキル」や「商談で成し遂げるべき目標を設定するスキル」といったものが役に立ちます。
では、そもそも営業スキルとはどのようなもので構成されているのでしょうか?
営業スキルと聞くと、「ヒアリング」「アプローチ」など有名なキーワードを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、これらのキーワードはスキルではなく営業活動の一部です。営業活動をフェーズごとに細分化し、それぞれのフェーズで活かせる具体的な能力こそが営業スキルと言えます。
営業スキルを習得するためには、はじめに具体的に何をすべきかというレベルまで明確にすることが必要です。実はフェーズごとに営業スキルを体系化することが可能で、フェーズに沿って順番に1つ1つのスキルを積み上げていくことが、スキル習得および上達に繋がっていきます。
しかもそのスキルは明日から誰でも実行できるスキルです。誰でも契約にこぎつける確率を格段に上げることができるようになります。
本記事では体系化されたスキルの一部をご紹介します。
突然ですがあなたは、BANTCH(バントチャンネル)というものをご存じですか?営業活動中にお客様へ聞かなければいけない必須項目を頭文字でまとめたものです。
<BANTCHの内訳>
B:Budget(予算)
A:Authority(決裁者)
N:Needs(ニーズ)
T:Timing(タイミング)
C:Competitor(競合)
H:Human(担当者)
このBANTCHをお客様へ聞く際、スキルとして細分化すると「聞く順番」と「聞き方」に分けることができます。
例えばB(予算)の場合では、お客様がゴールを達成するために投資をしても良いと思っている予算を聞く必要があります。営業が考えている金額と予算が一致しているかを確認するためです。
しかし、お金に関わるデリケートな話題のため、商談冒頭に聞くのは避けるべきです。「ご予算はいくらぐらいですか?それならこちらの商品・サービスがおすすめです」などと最初に聞くのはNGです。
価格を提示するのはお客様が商品やサービスの価値を理解してからであり、またこちらがお客様のニーズを理解してからという順番になります。
予算をストレートに聞くのではなく「これ以上かかるのであれば、検討外だと思ってしまうような価格はどれくらいの価格ですか?」と相手が受け入れやすい言い回しを使います。
予算の聞き方は商品・サービスありきの聞き方でなく「あくまでお客様の課題解決のためであること」「ゴール達成のために予算を聞くこと」を心掛けましょう。
予算の聞き方を一つ取ってみてもそこには“スキル”が存在します。
正しく「聞く順番」+正しい「聞き方」=トークを練習した後、実際に活用してみることで初めてそのスキルの習得となります。
あなたはまだこのようなスキルを“知らない”ところから、いま“わかる”に階段を登りました。ここから練習を積み上げ、“できる”、“続ける”とさらに駆け上がり、売れる営業パーソンへと進化していくことができます。
このように営業では小さなスキルを数多く積み重ねて契約の確立を高めていくことが肝心です。
成果を出すために必要なスキルを知っているか、得たスキルを実践しているか、熟練しているかなど、ほんの少しの違いで結果が大きく変わってくるのが営業の世界です。トップセールスはこの小さなスキルを数多く習得し、“自分の営業の型”として自在に使いこなすからこそトップとして君臨しているのです。
ではトップセールスが使いこなしているスキルとは一体どのような内容なのでしょうか。
ソフトブレーン・サービス社ではこれまで2,000名以上のトップセールスにインタビューを実施し、科学的に研究・解析し70のスキルに分類しました。そして第2回「ノウハウ(知識・やり方)」にてお伝えしたソリューション営業における5ステップと組み合わせて体系化しました。
ステップ | 該当スキル | スキル実施の目的 |
事前準備 | 12個 | 商談/面談のゴールをイメージ 類似の成功事例や証拠となるデータ・数字の準備 |
アプローチ | 12個 | 信頼関係を構築 自社の価値提示 顧客の抵抗の排除 |
ヒアリング | 22個 | 自社の提案に必要な項目の網羅 顧客の抵抗の排除 |
プレゼンテーション | 12個 | サービスの押し売りではなく顧客の課題を解決 顧客の抵抗の排除 |
クロージング | 8個 | 顧客に十分な思考をさせる 顧客の抵抗の排除 |
ソリューション営業70スキルの全体構造を理解をして頂くために、それぞれのステップで実施すべきスキルの数とスキル実施で達すべき目的を記載しました。
ステップの目的を果たすためにスキルを活かすべきです。ただし、スキルを活かすことばかりにとらわれず、あくまで商談の成果に繋げるためのものであることを認識しておきましょう。ここが営業の腕の見せ所であり難しいと言われる所以です。
いままでご紹介した「ソリューション営業5ステップ70スキル」は、大手企業から中小企業まで幅広く、3,000名以上に研修としておこなったところ、受講者のうち92%が実際に「営業成果が出た」とご回答いただいています。より深くご理解したい方は70個のスキルを習得できる「『90日間でトップセールスマンになれる 最強の営業術』野部剛著」を是非、手に取ってご覧になって下さい。
あなたは今、トップセールスへの階段を登り始めたばかりです。営業で成果が出ない時、上手くいかない時は初心に戻って、この全3回の新人営業「マインド」「ノウハウ」「スキル」を読み返し営業の型の習得に励んでください。あなたが近い将来、トップセールスとして活躍されることを心から期待しています!
文:日野マサヒロ