1.オンボーディングとは
2.オンボーディングを実施する目的
3.オンボーディングを実施するメリット
4.一般的なオンボーディング施策
5.満足度100%だったオンボーディングとは
6.「新人から満足度100%のオンボーディングを実施できた理由」と「真に求められているもの」とは
7.まとめ
コロナ禍のときに新たに組織に加わったメンバーは、入社後にリモートワークが続き、企業での正しい営業のやり方を身につけられていないケースが少なくありません。
そのため、組織風土に馴染めず違和感を覚えていたり、成果が残せずプレッシャーやストレスを感じていたりしている課題が出始めています。
課題を解決しなければ、成果を残すことはおろか離職に繋がる原因にもなりかねません。企業側も課題を解消すべく正しい教育を模索しているのが現状ではないでしょうか。
「新入社員は社会人経験が無いからまずは礼儀やルールなどの基礎研修」「企業理念の浸透」など企業側が知ってほしいことばかり研修として実施をしている傾向が強いです。
当然これらは実施すべき内容ですが、「新人のメンバーは何を知りたいか」「組織に馴染んだ上でセールスをするときに何をすべきなのか」という視点で設計は考えられていますでしょうか。
本当に成果が出る要素は何かを検討した上で、「オンボーディング」の設計を見直す必要があります。
今回は「オンボーディング」の設計に成功した結果、満足度100%であった研修プログラムの概要をお伝えします。今後の参考にして頂ければ幸甚です。
なお、「オンボーディング」は組織の基礎やITツール等も含み広い範囲を含んでいますが、今回はセールス領域にフォーカスし記述しておりますことをご理解ください。
オンボーディングとは、新しく会社・組織に加わった人材がいち早く職場に慣れてもらい、組織への定着・戦力化を促進する取り組みのことを示しています。
「新人研修」と訳されることが多く、入社後の研修のみをオンボーディングとして考えている企業が大半です。本来であれば、中長期的な目線で自社の組織風土に馴染み継続できる人材育成を設計する意味合いも含みます。
主な目的は2つあります。
(1)早期育成に繋げること
(2)スキル向上しやすい環境をつくり、企業の業績に貢献できる人材を育成すること
オンボーディングを実施して、組織風土や仕事に対するギャップや違和感を減らすことで、
企業にとって有益な人材を早期輩出することが目的となります。
■企業側
(1)早期戦力化
人材育成は企業の業績において重要な要素です。
しかし、限られたリソースを長期間にわたり人材育成に割くのは、効率的ではありません。 オンボーディングの内容を十分に練り上げることに成功すれば、育成期間を短縮することができ、人材の早期戦力化が見込めます。
(2)既存メンバーのボトムアップ
既存メンバーのボトムアップに繋がります。理由としては新しく入った人材を教育するためにマニュアルや資料を作成する機会が増えるからです。
自社商品や会社について再言語化することで、既存メンバーの業務に対する理解度も深みを増します。
■新卒社員・中途社員側
(1)新しい環境への順応・定着による戦力化
仕事・業務の進め方や果たす役割が明確化されることで、新たな業務に対して早く成果が出せます。
新しい組織固有のルール理解は、想像以上に困難が伴うものです。そのことでかかる負担を減らし、馴染むことで早期戦力化が可能となります。
(2)中途社員の豊富な経験と新しい組織文化で起こるシナジー効果
中途社員は、以前所属していた企業での高い経験値を、新しく属した企業で期待されるケースが多いでしょう。
新しい組織の環境に馴染んだ上で経験を活かし成果を出すことで、効果性が高く新しい考え方や営業手法を提供することができます。
ここまでオンボーディングとは何か、メリットは何かについてご説明してきました。満足度100%を得たオンボーディング施策をご紹介する前に、現在のオンボーディング施策の現状をご説明いたします。
<期間>
新卒社員:3~6ヶ月/中途社員:1~3ヶ月
<施策の内容>
自社理解 マインドセット ビジネスマナー
基礎的な論理思考力 OAスキル 商品知識 OJT など
上記の通り、自社の組織文化に順応して定着するための施策というより、新入社員に向けた基礎的な研修に近い内容となっています。
当然新人研修としては問題ない内容ですし、キャリアが豊富な中途社員が受けてもビジネスにおいて基礎は重要なため、全くの無意味なものにはなりません。
一見問題ないように思えるオンボーディングですが、実施側と受けた側の本音を聞くとうまく機能していないことがわかりました。詳しくは次項にてご説明します。
オンボーディングを実施する側である教育担当・営業推進部の方々からは「色々実施している現場に役立っているのか正直不明である」といったご相談をよくいただきます。また「実施後のアンケート結果が悪い」ことから、受ける側にとっても現状のオンボーディングに不満を抱えていることがわかります。
なぜ、一般的なオンボーディングが上手く機能していないのでしょうか。弊社がお客様と入念に事前打ち合わせをしていくうちに原因の一つが判明しました。
上手く機能していない原因は、「あるべき営業のやり方」「どうすれば売れるのか」をオンボーディング内で理解することが出来ない設計になっていたことでした。
先ほどご紹介した一般的なオンボーディングでは、「企業側が社会人として知っておいてほしいこと」だけが詰められているものでした。言わば月並みな内容です。
組織文化に馴染み成果を出す人材を育成するためには、「自社商品を売るためのノウハウや自社の文化に沿った営業手法」など自社特有のノウハウを継承できる設計にする必要があります。
一般的なオンボーディングに比べて、アンケート満足度100%だったオンボーディングの施策を一部公開いたします。
<施策の内容>
・自社商品に対する理想的なターゲットと訴求方法
・顧客課題に刺さる自社商品の価値の明確化
・事前準備
・アプローチ(信頼関係構築の方法)
・ヒヤリング(ニーズの引き出し方)
事例に取り上げたオンボーディングは好評を博しました。受講者からは「営業に必要な思考やスキルについて、ここまで深く掘り下げて学んだことがなかったので、非常にタメになりました」「漠然としていた営業の目的やプロセスなどを今回の研修を通して学び、現場で活かせるイメージを形成できた」といった声を頂いております。
教育担当者からも「皆自信を持って活動できている」と組織に定着した傾向を示唆する言葉をいただきました。さらに「研修が全てではないだろうが〇億円を受注した」ともご評価いただき、早期育成に繋がったと言えます。
先ほどの例から、「オンボーディングを設計する企業側」と「オンボーディングを受ける新卒社員・中途社員」の間で理想とする施策内容にギャップがあることがわかりました。
「あるべき営業のやり方」「どうすれば売れるのか」を軸にオンボーディングを設計したことにより、新卒社員・中途社員が成果を出すために何をすればいいかがわかったことで満足度が100%になったと言えます。
新しい環境で周囲に認めてもらうために、無意識に早く成果を出したいと思うのは必然のことでしょう。企業側は基礎的なことを教えていますが、新卒社員・中途社員が真に求めているのは「現場に即した営業スキル・知識」なのです。
コロナ禍によってリモートワークの普及やコミュニケーションの手法が変わっており、企業の有り方が問われています。企業も新しい働き方を浸透させるために変化している中、新卒社員・中途社員が業務に慣れるまでの壁は年々高くなっていると言えます。
その壁を乗り越えるためには、新しく入社した社員が企業にいかに早く馴染むか、成果を出せるかが鍵となります。その役割を担うオンボーディングの役割は今後より注目されていくでしょう。
満足度の高いオンボーディングを実施して、新卒社員・中途社員の営業力を強化できるようにするために、一度見直してみることをおすすめいたします
宮戸 章光(みやと あきみつ)
ソフトブレーン・サービス株式会社 シニアコンサルタント
東京都出身。
小学校から大学まで卓球部に所属し全国団体戦準優勝、個人戦ベスト8の成績を収める。
大学卒業後、専門商社に入社。
原料、資材、完成品などの法人営業に従事し、創業期企業から業界最大手まで広範囲に担当、5年連続個人年間予算100%以上を達成。
その後、企画グループのマネージャーとしてマネジメントに従事。2年後、新規事業開発担当として市場分析/戦略立案/商品政策/営業活動の一連のすべての業務を行いブランドを立ち上げる。
上記の経験を活かし、ソフトブレーン・サービス株式会社に入社し、現在に至る。
2019年に経営学修士(MBA)を取得。
プライベートではSDGs/ESG関するイベントを有志で運営し、サステイナブルな世界の実現を目指す。。
頂いた個人情報は、ソフトブレーン・グループ内にて共有させて頂きます。ご了承の程、よろしくお願い致します。